■家系図の毛筆筆耕について考えます。
右の毛筆筆耕サンプルをよくご観察ください。
登録番号、名前、生年月日と日付の文字の濃度が濃く現れています。この箇所が、毛筆で筆耕された文字です。バランスよくうまい具合に書き込んでありますよね。

やや薄く映っているのが印刷文字ですが、もちろん原版は手書きです。本文の4行では、行の途中で不自然に文字が切れないよう配慮がなされています(「基づき」「行政書士」「を」で改行されています)。

筆耕の現場では、毛筆筆耕以前にまず、用紙に対する文字数、行数、文字サイズを計算します。枠線、中心線を引きレイアウトします。鉛筆による下書きを経て、ようやく毛筆筆耕という工程をたどります。

完成度の高い筆耕では、そのプロセスが肝というわけですね。


ちなみに通常縦書きでは、右から左方向に書いてゆきますが、筆耕では左から右に書き進めます。

賞状用紙やハガキなど厚紙類は、墨の乾燥に時間を要します。せっかく筆耕した文字を右手で汚さないよう配慮した方法なのです。
筆耕(ひっこう)とは?
次は、2点のハガキを見比べてみてください。ともに達筆ですよね。一方がパソコンのプリンターで印刷されたものです。工業技術の進歩は目覚しく、手書きに比べてもそん色ありません。ではどちらがプリンターの文字でどちらが手書きであるか識別できますか?

不思議なことに、一目瞭然で上が手書きであることが判ります。わたしたちがこれまで生きてきた中で蓄積してきた情報と目の前にあるハガキの文字サイズ、字の濃度、字の形状を観察した結果、そう判断できるのです。すごい能力ですよね。


手書き、パソコンともに情報の伝達、保存を目的とした場合、その効果は同じであると思います。むしろ完成度、汎用性、量産性ではパソコンが優れているでしょう。

一方、感情的には、よりオリジナリティーが高いものに対しては、希少性、具体性を求め、手書き文字であることに付加価値を認めます。

例えば年賀状。宛名までもプリンターで印刷できる時代ですが、一箇所でも手書き文字のコメントがあるだけで、送ってくださった方への親近感、温かみ、ありがたみを感じますよね。不思議な感情です。

最後はエクセルで作った家系図の一部です。毛筆に近い字体を選択しました。文字の間隔も均等、系線もシャープでまっすぐ、均整がよく取れています。完成度に申し分なしと思います。

ただ、これが苦労して調べた自分の家系図であったら、貴重なデータであることに間違いありませんが「毛筆で筆耕したらどんなふうになるかな…カッコイイだろうな…」なんて、つい考えちゃいますよね。格式や由緒を重んじる心理もあるのでしょう。

筆耕するかどうかは、感情的な要素が多分にあるのです。

この筆耕では、調製日付(と言いましても吉日との記載)とわたしの行政書士の職印を押してみました。ここにスペースを空けておき、お嫁さん、お子様、お孫様など家族が増えたとき書き込むといった考え方もできます。

わたしの主観ですが、表装を念頭に置くと日付と印があった方がカッコよく感じます。ご長寿などの記念あるいはギフトであれば、調製日付はその方のご誕生日、結婚記念日にしてもよいですね。

当方では、筆耕をご注文いただいた場合、調製日付(吉日と表示)と職印の押印は標準仕様とし、お客様の意向で、調製日付の指定、あるいは一切の省略も受付いたします。

最後に文字に対する評価ですが、お客様の好みで主観的に判断されるものですから、上記文字のイメージをご覧になって、お気に召されれば、ご注文くださると存じます。ですが、イメージを完璧にお伝えできているとは限りません。

スキャナーで読み取ったものを縮小して使用しているため、実物の文字とは若干印象が異なります。これはどうしても避けられません。

人の視力は大変優れており、ちょっとしたかすれや曲がりまでも発見してしまいます。天皇家の皇統譜でさえ「ちょっと書き損じたのかな…」と思える箇所があります。もちろん揮毫に当たっては、細心の注意をもってあたります。

それでも、筆耕をご注文のお客様には、上記の文字イメージの限りでないことを含んだ上で、ご注文くださることをお願い申し上げます。

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